【事例4社】メリットとデメリットから見る外国人採用

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近年、人員の確保や企業間の競争力向上を図る目的で外国人を採用する企業が増加傾向にあります。しかしながら、外国人材採用は複雑な手続きが必要だったり、知らずに採用すると入社後の思わぬトラブルに繋がってしまうなどのデメリットがあることはご存知でしょうか?本稿では、どのような職種・業種でも当てはまる外国人雇用に共通する長短を、各社事例を元に解説します。

外国人材を採用・活用する最大のメリット

グローバル経営に向けた社内体制が早期に構築できる

多くの企業にとって最大のメリットはやはり、外国人材を雇用するだけで自社と海外市場の担当窓口が配置できることでしょう。日本人のバイリンガルスタッフを配置転換するケースも見られますが、現地事情や文化的背景に根ざした感覚は現地での生活体験によってしか得られないため、取引先とのミスコミュニケーションや消費者ニーズの見落としが発生します。また、現地でのやりとりを当該国の出身者に任せるだけで、取引先からの信用度が180度変わるケースもあります。

精密機器メーカーでの活用事例(現地事情・現場コミュニケーション)
日本仕様のまま海外で販売しても、期待する動作をしてくれない。湿気の高い地域では故障率が高く、砂埃の多いインドでは動かない不具合が起きたりする。本気で進出を考えるなら、現地事情に精通した人間に開発を任せ、営業させることが重要。
酒造メーカーでの活用事例(製品開発・英語力)
海外輸出用の外国人向けお酒の開発に米国人女性を採用。お酒を造る企画部門で外国人向けの新しいスパークリング清酒を開発し、ヒット。
小売業での活用事例(売上拡大・中国語力)
中国からの観光客が増加したため、中国人社員を雇用。中国人観光客に対する、商品配置や商品説明のポップ等を母国の文化知識を活かし提案してもらい、実践することで売り上げが拡大。

母集団形成における視野が広がり、優秀な人材を集めやすくなる

18年春新卒採用では内定辞退率が過去最高の64%を超えたことが話題となりましたが、実は留学生だけを対象とした内定辞退率で見れば2割にも達していません。外国人材は何十社とエントリーする日本特有の就職活動は馴染めないため、外国人採用を行っている一握りの企業から、本当に入社したい企業だけを選ぶ傾向があります。もちろん、それは転職時の中途採用においても例外ではありません。
参考:18年春新卒採用 内定辞退、最多6割超 売り手市場反映

在留資格の問題があるため、日本人しか募集・採用できない職種については当てはまりませんが、外国人材の技術・語学力を活かせる多くの職種においては、外国人材を選考母数に加えることで採用予算の投資効率が改善するだけでなく、予想もしなかった優秀な人材からの応募が期待できるケースがあります

企業規模や知名度の影響を受けずに優秀層を獲得できる

大手志向の日本人とは対象的に、優秀な外国人材ほど「チャレンジできる職務内容」や「日本語・母国語の語学力を活かせる」といった軸で応募先企業を選択します。国内企業多くは外国人に関する積極的な採用戦略を取っていないため、外国人採用市場は手付かずのブルーオーシャンであり、有効な採用チャネルさえ確保できれば成長企業・中堅企業でも優秀な人材へもアプローチが可能です。

ハングリーな若手層へアプローチできる(新卒・第2新卒)

外国人留学生は多くの場合、一定水準以上の教育環境を持った知識層・エリート層の出身者です。特にアジアを中心とした進出国の出身者は、並々ならぬリスクや費用を抱えて日本に送り出していることも多く、自分自身のキャリアと母国の発展のために全力で学業を行なってきた人材も少なくありません。そうした精神を持った人材は入社後も活躍する事例が多く、海外進出のタイミングでは現地市場調査から社員の渡航、現地の商習慣や習俗のレクチャーといったマルチな役割も期待できます。

サービス業での活用事例(日本人社員の意識変化・ポテンシャル採用)
初めて中国籍社員を採用。ハングリー精神あふれる人材の加入により業務にひたむきに取り組む姿が、日本人の若手社員に刺激を与え、社内が全体的に活性化した。また、これまで説明する必要がない日本の常識を異文化を持つ外国人社員に教育することで、若手の教育係の社員の成長が見られた。

「日本語能力を諦める」という選択肢
国内企業の求める日本語検定(JLPT)N3~N2以上の合格者は世界全体でも年間10万人程度であり、うち9割は留学を目的とした学生の受験者です※。日本語習得者を絶対条件に考えてしまうと、対象者が「業界知識や経験は乏しいが、日本語能力のある留学生」に絞られてしまい、出身国の大手企業で業界経験豊富な社員を引き抜くような人材活用ができません。優秀なビジネスマンが必ずしも日英バイリンガルでないのと同様に、海外優秀層が日本語バイリンガルであるとは限りません。外国人材を安定的に活用出来ている企業ほど入社時の日本語要件は低く、採用後に語学研修などでスキルアップさせています。
参考:2016年第1回日本語能力試験結果の概要

外国人採用のデメリット

外国人採用特有の書類手続きに時間がかかる

外国人が日本で働くためには入国管理局から発行される在留資格を取得する必要があり、国内人材の採用と比べ手間が増えます。また、就労できる職種も在留資格の制限を受けるため、就労ビザの取得可能性を事前に精査するなどの対応が避けられません。ビザの申請に不安があれば、管轄の入国管理局の担当官や入国管理業務を専門とする行政書士、弁護士などに相談し、判断を仰ぐことをおすすめします。外国人採用の流れについては、【チェックリスト付き】トラブルなく外国人材を採用するために知っておきたい5つの知識の記事を参照してください。

社内の受け入れ体制が必要

外国人採用においては社風や会社規模、先輩スタッフの語学能力など、担当職務に応じた受け入れ体制が必要です。異文化を背景にした視点や発想の違いは「両刃の剣」であり、国内人材と同等に雇用すると考え方や習慣の違いから孤立し、能力を発揮できずに早期離職してしまうこととなります。

独自の採用チャネルが必要

国内で運営されている採用媒体は基本的に外国人材からの応募を想定していないため、外国人材や留学生だけを対象としたジョブフェアに参加したり、知人からの紹介を受けるなどして地道に候補者を見つける必要があります。選考母数と質の高さは比例するため、採用難易度の高いポジションでは紹介会社を利用するほうが効率的な場合もあります。外国人採用を効率的に行うための採用チャネルの考え方については、外国人専用の採用チャネルを持っておくべき3つの理由の記事も参考にしてください。

外国人材を活用した事業成長のために

国内需要が減少するなかで、日本語能力を持った外国人材の獲得競争は年々激化しています。まさに「バイリンガルは正義」の時代です。今までは、日本ブランドを理解した生え抜きの社員を現地へ配置転換するケースが一般的でした。しかし、現在では現地事情や文化的背景を理解している優秀な海外出身者をいかに効率的に獲得するかが重要になっています。外国人採用は一部の企業だけが行う特別な人事ではなく、企業の生き残りをかけた必須の経営戦略です。手間に感じる部分もありますが、メリットとデメリットを理解した上で、自社の採用戦略として有効に活用するための方法を検討しましょう。